【感想】映画「聲の形」を見て。
怖くて見れない作品だった。
たとえ名の有る京アニの作品で、吉田監督で、どんなに名作だ!って言われても、怖いものは怖かった。
今回、同じ作者の「不滅のあなたへ」が素晴らしかったのを機に、
あと地上波で初めて放映される、ってことで原作見る前に、と思った。
これを某裏番組にぶつけてきた局の本気。
正直言うと、とても良かった。
誰でも被害者・加害者になり得る「いじめの問題」、
学校に通えない「不登校」の中学生。
ある種、大人では当たり前に乗り越えられることなのに、狭い世界の中で葛藤する子供たち。「スクールカースト」の中でいとも簡単に踏みにじられる「自己肯定感」、それによって引き起こされる「自殺」という衝動。
数えきれない問題の中で、主人公たちは生きている。
誰しも何かひとつの問題をきっかけに、「人の声」「人の目」「空気」に対して恐怖を覚える。
そのきっかけが、言葉だ。
私たちは言葉という「武器」を持っている。
それは、自身の感情/考えを表現する「武器」にもなれば、
ナイフのように人を傷つける「武器」にもなる。
人を癒す波にもなる。
でも、ナイフも包丁として、ひとつの道具として扱えば、人の生活を豊かにする「武器」にだってなる。
その場の感情で振りかざしてナイフとしてしか用を成さない彼女の言動だったり、
仲良くしていたはずなのに、自身へ罪が降りかかる前に、言い逃れのために振りかざした正義がするどい槍となり、彼のこころに穴を開ける。
でも、「手話」という言葉を使って、彼女を救うこともできる。
この作品の中では、全部同じ「言葉」。
自身を変えるには、周りのみんなを変えるには言葉を武器として、ではなく、和を癒す「波」として使わなければならない。
そして大事なのは、その言葉と共に自身と向き合うこと。
相手の声、目と耳と体全身で聞くこと。
“繋がりたいのに繋がれない”、言葉を明確に発することができるのに。
そんなことを強く感じた作品でした。
後松岡茉優ちゃん。気づかなかった。
あと大垣市の風景の再現度がガチだった。
特に病院。各病棟への看板と入り口の感じの再現度がやばい。
オブジェの再現度もえぐい。
心にぐさり、ぐさり、ぐさりと。静かに抉られていく作品だった。
以下、アニメ映画鑑賞から感じた各キャラクタへの感情を。
※以下、物語のネタバレを含みます。注意。
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【エトランゼ/雪の下のクオリア】紀伊カンナ作品が好きだ。【魔法が使えなくても】
南の海、という絶好のロケーションの中で、生きているふたり。丁寧に描かれる背景。
やがて北国に舞台が移り、冬を越えて「春風のエトランゼ」になったとしても美しさは変わらない。冷たい風、白い息。耐え忍んで春、そして夏。四季を確かに感じる。
別作品「雪の下のクオリア」も雪国を舞台とした作品だ。
冬~春、初夏にかけ、それぞれ違う背景の中で、どちらの作品も「家族」を描いている。
『雪の下のクオリア』発売記念特集 | B'Sgarden|大洋図書|ボーイズラブ BL 耽美
移りゆく季節の中、着実に進む時の中で、キャラクターは生きている。
その背景と絶妙にマッチした、柔らかい線で描かれるキャラクター達。
「至って普通の男の子」でも、いつの間にか特別な男の子になっていってしまうのが、
ある意味BL作品の常だ。
こんな性格イケメンはいない、こんなスーパー攻め様はいない、と。
いままで読んだ作品の中で、「極端な人物造形」をしたキャラクターはいない。
ひと駅となりに住んでいる、たまに道ですれ違うお兄さん・お姉さん、のように自然体人物が「当たり前」の毎日を過ごしている。
表情豊かに日々を、生きている。
「魔法が使えなくても」。非BLの短編連作。
この作品を読み終えて、それを強く感じた。
あるキャラクターについて、(私にとっては)あっ、と驚く伏線が隠されている。
でも、彼らは隠しているつもりはない。当たり前に受け入れているだけ。
ただ「当たり前」だと思えないものが、ただ騒いでいるだけ。
当の本人たちは、ただ当たり前に、自然に生きているだけだ。
ひとが生きていく上での、天変地異を覆すような「決断」もなく、
BLにありがちな、それこそ日本を揺るがす大御曹司の人生観を狂わすような「出会い」でもなく、夜の世界で生きるわけでもなく、
ただ、「普通のひと」たちが日々を過ごす中での「当たり前」の生活が、そこにはある。
彼らにとっては大きな決断でも、世界の理は一切変わらない。特別な言葉もない。
作品によっては、何も大きく変わらず、ただ「はじまり」だけを描いているような、そんな話もある。
その全てが心地よくて、好きだ。
精一杯生きる、人が好きだ。
「心が洗われる」BLという謳い文句がよく宣伝に使われている。
確かに、この心地よさを言葉にするならば、その表現が正しい気がする。
読み終わったあとに来る、大きな感情の起伏を素晴らしい!と感じることも多いけど、
紀伊カンナ先生の作品を読み終わったあとは、静かに、心があたたまる。
それが、ただ愛おしくて、ずっと好きだ。
よくよく調べてみたら、どうやら前職はアニメーターさんだったようで。
んーこりゃあ納得。
しばらくお休みをされるそうなので、次作品は気長に待ちます。
20代女、ぼっちで週刊少年ジャンプ展 Vol.3に行って来たの巻。
俺の嫁について本気出して考えてみた①
自己紹介がてら「嫁」の皆さんを紹介していきたいと思います。
一夫(私)多妻制を採用しているのでたくさんになりました。
そしてだらだらと書いていたら、思った以上に長くなってしまったので分けました。
後半戦はまた別記事で書こうと思います。
嫁の定義はこんな感じ↓
muitenaimuitenai.hatenablog.com
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