https://stgshop.hikaritv.net/shopping/static/s_2007_03_dpup/data/index.html

そもそも、向いてない。

明日は明日の風を吹かせるブログ。

【感想】映画「聲の形」を見て。

 

怖くて見れない作品だった。

たとえ名の有る京アニの作品で、吉田監督で、どんなに名作だ!って言われても、怖いものは怖かった。

今回、同じ作者の「不滅のあなたへ」が素晴らしかったのを機に、

あと地上波で初めて放映される、ってことで原作見る前に、と思った。

 

koenokatachi-movie.com

 

www6.nhk.or.jp

これを某裏番組にぶつけてきた局の本気。 

 

正直言うと、とても良かった。

誰でも被害者・加害者になり得る「いじめの問題」、

学校に通えない「不登校」の中学生。

ある種、大人では当たり前に乗り越えられることなのに、狭い世界の中で葛藤する子供たち。「スクールカースト」の中でいとも簡単に踏みにじられる「自己肯定感」、それによって引き起こされる「自殺」という衝動。

数えきれない問題の中で、主人公たちは生きている。

 

誰しも何かひとつの問題をきっかけに、「人の声」「人の目」「空気」に対して恐怖を覚える。

そのきっかけが、言葉だ。

 

私たちは言葉という「武器」を持っている。

それは、自身の感情/考えを表現する「武器」にもなれば、

ナイフのように人を傷つける「武器」にもなる。

人を癒す波にもなる。

でも、ナイフも包丁として、ひとつの道具として扱えば、人の生活を豊かにする「武器」にだってなる。

 

その場の感情で振りかざしてナイフとしてしか用を成さない彼女の言動だったり、

仲良くしていたはずなのに、自身へ罪が降りかかる前に、言い逃れのために振りかざした正義がするどい槍となり、彼のこころに穴を開ける。

でも、「手話」という言葉を使って、彼女を救うこともできる。

 

この作品の中では、全部同じ「言葉」。

自身を変えるには、周りのみんなを変えるには言葉を武器として、ではなく、和を癒す「波」として使わなければならない。

そして大事なのは、その言葉と共に自身と向き合うこと。

相手の声、目と耳と体全身で聞くこと。

 

“繋がりたいのに繋がれない”、言葉を明確に発することができるのに。

 

そんなことを強く感じた作品でした。

 

そして、早見沙織悠木碧入野自由の演技、うますぎ。

松岡茉優ちゃん。気づかなかった。

あと大垣市の風景の再現度がガチだった。

特に病院。各病棟への看板と入り口の感じの再現度がやばい。

オブジェの再現度もえぐい。

 

心にぐさり、ぐさり、ぐさりと。静かに抉られていく作品だった。

 

以下、アニメ映画鑑賞から感じた各キャラクタへの感情を。

※以下、物語のネタバレを含みます。注意。

 

 

【石田将也】

因果応報、身から出た錆。

彼が悪いのは分かっている。ただ、つらい。あまりにも彼の学級裁判後の扱いが、つらい。そして、将也がお母さんにお金を返して感謝と謝罪を示し、静かに生をあきらめようとしていた事実が、つらい。

 

結絃に言われた「同情?自分の贖罪?いい気持ちになってるだけ?それらが100%絶対ないと言い切れるのか?」って言葉。彼自身もわからないままだと思う。ただ、彼のひとつの後悔の根源が彼女だから。彼にとってはきってもきれない存在だから。

聲の形は彼が西宮さんとの再会をきっかけに、「自己肯定」を取り戻していく物語だったと思う。なりすましで結絃に飛び込みの写真をアップされるも、将也は「自分が悪い」「俺って最低な人間だから」と言う。そんな彼が変わる物語。

ただ、その過程の中で、彼が心を閉ざしたゆえに、西宮さんの「好き」が理解できないということがつらすぎる。あの告白のシーンは、将也の閉じた心を表しているようで、みていてつらかったです。

彼が西宮さんと再会するまでに過ごした数年間、彼の贖罪と言う名の数年間と、川井植野島田が過ごした数年間。

私は確実に君の何年間の方が、意味のあることだったと思う。

例え孤独な数年間だったとしても、彼らよりも確実に将来に実りある数年間だったと思う。

 

そして、ラストの将也の涙は彼が自分自身を認められた日。

当たり前のような学祭の風景でも、彼にとっては特別な日。

許せなかった自分を許せた日。大号泣。

 

【西宮硝子】

 硝子がポニーテールにして将也に告白するまで、植野をめっちゃ意識してる感じ、大好きです。超可愛い。

 告白シーンで硝子が手話を使わず、声でコミュニケーションする事にこだわっていたのも、植野への対抗意識があってのことで。『声』にこだわった硝子の告白シーンは最高にかわいかった。

 有る意味、ずっと生きることとの罪悪感と戦い続けた彼女。

将也がある種明るく、自分生きていいんだ、と思い始めるのとは逆に、硝子は生きていることへの「罪悪感」と戦っている。

ただ、彼女の「自分自身」の好きが、なかなか伝わってこないのがつらかった。

そして過去の恐怖から「幸せ」へ感情が変わった瞬間、彼らと繋がっている他の人たちの運命も揺れ動かして波紋のように変化が広がっていく。そして、ある日突然崩れる平穏。

硝子が決心したのはいつだったのか。目一杯楽しい思い出を作って迎えた花火大会。花火の音を感じ、少し離れた距離で、あっけなく分かれる二人。そして、幸せな表情で去っていく彼女。

死に対する恐怖ではなく、自分が消えればみんなが幸せになる。と感じていた。かつての将也がそうだったように。

 

そして、あの花火のシーン。

 

「自分のような人間が幸せを求めて良いはずがない。ただ君は幸せになって。」

 一瞬たりとも躊躇しなかった将也。

「もう嫌なことから逃げたりしません。」「明日から、ちゃんとみんなの顔を見ます。」「ちゃんとみんなの声を聞きます。」

 『そういえば西宮に俺の事どう思っているのか聞いてなかったな・・・ちなみに西宮・・・俺はさぁ・・・』

将也が込めた、単に『好き』だけでは表せない感情。そして、その後の『君に、生きるのを、手伝ってほしい』という言葉。

 

家族を含め、他人に迷惑を生きている、という罪悪感の中で生きていた彼女にとって、将也の『生きるのを手伝ってほしい』という言葉は大きな救いだったんだと思います。

 

大号泣。

 

 

【長束】

中盤は、特に長束くんとふたり仲良しだったころが平和すぎて泣いた。この作品の良心。聖人。

 

【西宮結絃】

可愛い&可愛い&可愛い。最強の姉思いの妹。

彼女も有る意味、将也によって救われた女の子。

大丈夫。あなたも幸せになって。

 

【佐原みよこ】

佐原さんはいいこ。変われてるよ。これからもっと変われるよ。

【植野直花】

植野みたいな性格ってドストレートで嫌い。怖い。

うらやましいけど、怖い。

植野と将也の再会での露悪的すぎる植野の言動/観覧車のくだりが最悪すぎて。あと衝動的にでも暴力を振るおうとする人間はどうあがいても私は好きになれません。以上。

 

【川井みき】

一番嫌い。無意識に傷つけるひとっているじゃないですか。それ。

私は何度見ても許せないと思う。

自分が悪いとか、自分の言葉でどれだけ人を傷つけてるとか、周りをどんだけ面倒くさく掻き乱してるとか本気で理解しようともしてないし無自覚だし。ただ「自分が正しい」っていうか正しく善良にやってるだけでちくはぐなこうどうとなるのは理解できるんだけどだめ。不快。無理。嫌い。こういう女って、自分の見た目が80点オーバーのAランクだと理解しているんですよね。だから嫌い。

 

途中はこの女子二人が不快すぎて本当に心が痛かった。植野と川井は徹底的に不幸になっちまえ。ってなってしまうぐらいにはゆがむ。

 

【真柴】

多分彼の掘り下げは原作を読んだ方が良さそうな気がする。